Everlasting33が今日からまた上演されています。
私は、初日に興奮と感動の空間に身を置きながら、ある映画のタイトルを思い浮かべました。
「天井桟敷の人々」。
学生時代にカッコつけて見た古いフランスの名作映画です。
*Amazonのリンク画像を使用しています。
天井桟敷(てんじょうさじき)というのは、劇場の天井に近い席のことで、
適度にこぢんまりした満員の劇場で、
俳優の演技に観客が声援を送ったり、夢中になって拍手したりする、生き生きとした世界が描かれていました。
私は、その同じ雰囲気を、Everlasting33の公演から感じたのです。
それで…
後日、「公演で声援が禁止されていた」と知って、 びっくりしました。
めちゃめちゃ声援ありましたけども…。
「声援禁止」というルールがあったのであれば、声援は禁止であり、
ルールを知っていた人は、「え、ダメでしょ?」と、不愉快な思いをしたり、ストレスを感じたりしていたかもしれません。
声援は禁止されていた。
ということを大前提に、いくつか感じたことを書きたいと思います。
観客は「声援禁止」を知っていたか?
私は、事前に公式サイトをざっと見て、以下のルールを知っていました。
- 応援バナーやグッズは禁止
- プレゼントや手紙、花束を渡したり投げ入れたりは禁止
また、会場の入り口で、以下の張り紙を見ました。
- 公演中の写真・動画撮影禁止
しかし、「声援禁止」は知りませんでした。
どこかに書いてあったかもしれないけれど、開演前のあわただしい中、
座席の位置図を確認するだけで、一杯いっぱいでした。
アナウンスがあったかどうかは、定かではありません。
トイレに並んでいるときに、「もうすぐ開演なので席におつきください」というアナウンスで焦ったことは記憶にあります。
また「声援」の定義は何か、と考えると、
「声を出して応援すること」だと思われますが、
- 「真央ちゃ~ん」と叫ぶ
- 「岳斗さん頑張って」と声をかける
- 感動して「おおー」と声をもらす
- 演技中にヒューヒュー言う
- 岳斗さんがかっこよすぎるので悲鳴をあげる
- 衣装のすばらしさに唸る
など、いろいろな例が考えられます。
どの範囲を指すのでしょうか。
「声援禁止=声出し一切禁止で無言を貫く」でしょうか?
Everlasting33は、1曲ごとに明確なお辞儀があるわけではないので、
となると、1曲目から33曲目まで、拍手するのみで無言で見続ける、ということになります。
出演者は「声援禁止」を知っていたか?
出演者は、声援禁止というルールを知っていたのでしょうか?
または、演出上、声援のないショーを望んでいたのでしょうか?
声援が舞台のクオリティを邪魔したのであれば、それはもう言語道断。
即刻、やめていただきたい。
でも、私が目撃した中では、
- 出演者が、観客に「もっと声援ちょーだい」と、あおっていた。
- 出演者の演技が、観客の声援に後押しされていた。
- オーケストラ、指揮者、ダンサー、スケーターが、観客の反応を楽しんでいるのがわかった。
例えば、あるスケーターは、ジャンプで転倒したものの、その後のスピンで歓声が起きて演技が息を吹き返し、最後は拍手喝采でした。
あるスケーターが、観客の目の前でこ洒落たポーズを取るたびに、「ヒュー」みたいな声があがっていましたが、シーンとしていたら、寒かったと思う。
HideboHさんのタップダンスで、超絶技巧にものすごい歓声と拍手が起きて、HideboHさんもノリノリになって、さらにステップがすごくなりました。
タップダンスについては、「手拍子でタップの音が聞こえなかった」と仰る人がいて、手拍子は確かに迷惑だったかもしれません。
私は、自分の席からタップをしている足元が見えず、それに若干いじけて(←子どもか!)、静かに見ていました。
ただ、タップの音は、ものすごくよく聞こえました。「本当に今、タップしている音なのか?」と疑うくらい。そのくらい、すごい技巧だったわけですが。
一方、ソロの演目では、バレエ音楽もあったのですが、ジャンプしながら回転移動するグランフェッテの場面では、手拍子、手拍子で盛り上がっていました。
真央ちゃんも、歓声がブースターとなって、演技がとんでもない境地に達しているように見えました。
私が素直に思うこと。
私は、性格上、声を出すタイプではないですが、
今回のショーでは、観客の声援と出演者が呼応していて、
まさに「ショーは一期一会の生き物である」と感じました。
意図しなくても、思わず声が漏れてしまうような、スリリングなシーン、ゴージャスな演出もありました。
これらは、「劇場型アイスショー」の魅力の一つだと感じました。
しかし、まじめな性格なので、「声援禁止」と知っていたら、
声を出している人に対して、ストレスを感じたと思います。
タップダンスを楽しみにしていたのに、タップが聞こえない、となれば、怒り心頭だったと思います。
スケート競技会のような、「●●くん、がんばー」みたいな声援は、劇場の雰囲気に合わないと、多くの人が本能的にわかると思います。
でも、「芸術に酔いしれるプレミアムな~」ということで、
このショーを、クラシックバレエやオペラと並べて捉えるならば、
演技中に声を発するなどありえない、マナーが良くない、と感じる人もいるかもしれません。
何が正解かは、わかりません。
浅田真央プロデューサーが、観客の声援をどう感じているのか、
どういった観客の反応を求めているのか、ぜひ聞いてみたいです。
「声援」の範囲もわからないと言えば、わからないし、
誰も形にしたことのない新しいショーなので、
この反応、状況を、出演者も観客も、予想していなかった気もします。
今日の公演は、どうだったのでしょうか。
「声は出さないで」とか、事前に注意アナウンスがあったりしたのかな?
私は、自分が見に行った初日の雰囲気が好きでしたが、
これから千秋楽までの公演も、出演者と観客が心地よく酔いしれる空間であってほしいと願っています。