いよいよ、宇野昌磨アイスショー「Ice Brave」へのカウントダウンが始まりました。
少しずつ、愛知行きの荷物をまとめつつある私。
曲が始まると、コントラバスの刻む音にパーカッションが合流し、
緊迫感あふれるバンドネオンに導かれ、
私たちは、昌磨に吸引されていきました。
前半は、優雅に音を拾いながら高難度4回転ジャンプに挑む姿を、
固唾をのんで見つめます。
やがて、弦が「キュイーン」と泣く音からの打楽器“タンッ”に
完璧に音ハメした3回転アクセル+3回転トゥループのコンビネーション。
あまりのすばらしさに、
各国の実況席が感嘆の声をもらしました。
「おっ!」「ほほー」
客席とリンクの距離が一気に縮まって、
やんや、やんやの大喝采。
やがて、「ヤンサーン ヤンサーン」のボーカルと共に、後半の演技に突入。
私の耳には「ヤンサーン ヤンサーン」と聞こえていたのですが、
どうやら
Ya sé que estoy piantao, piantao, piantao…
(ヤ・セ・ケ・エストイ・ピアンタオ、ピアンタオ、ピアンタオ…)らしく
この部分、昌磨さんも口ずさんでいるように見えます。
鋭い視線でジャンプの軌道を確認してからの…4Tと4T+2T。
勢いを増す後半の演技に、観客はさらに熱強、いや熱狂しました。
そして、何度見ても心に羽根が生えたように幸せな気持ちになるのが、
3A+1Lo+3Fのコンビネーションジャンプ。
まるで、弦楽器の弦の上で演技をしているのではないかと思うほど、
優雅でしなやかで力強い動き。
こうなるともう、観客は、トランス状態に陥って、悲鳴、歓声、足踏みが響きます。
そこから、バンドネオン、弦楽器、ボーカルと宇野昌磨、観客が一体となって向かう大団円は、
世界中のフイギュアスケートファンにとって、至福のときでした。
この演技を見て、宇野昌磨のスケートと
恋に落ちずにはいられるだろうか。
いいえ、それは無理。
今でもあのときの肌感覚が脳裏に刻まれています。
この伝説のプロ「ブエノスアイレス午前零時/ロコへのバラード」は、
ファンがもう一度見たいプログラムのナンバーワン(の一つ)だと思います。
それでも彼は、今までアイスショーで滑ることはありませんでした。
理由は定かではありませんが、
一般論として過去の競技プロについて話していた中では、
・競技で演じていた当時よりうまく滑れる気がしない
・ショーで滑るには負担が大きい構成
・試合の瞬間のために創った作品として大事にしている
といったことが、あった気がします。
宇野昌磨さんにとっても、このプログラムは思い入れの強いものだったのではないかと推察しています。
このプログラムが、Ice Braveで見られると、私は信じています。